すべりこみアウト。16すべりこみアウト。16 「ここではないどこかでいつか」 行き場のない思いを抱いて あてのない道を歩いてる とうてい似合わないような服を着て 理解できない会話の中で コクンコクンと首を振ってる いつかバチがあたるだろう こんないい加減なこと言ってると いつか穴に落ちるだろう こんなあやふやなままでいると ボクはキュッと身を引き締めて目を瞑り しばらく黙ってじっとしてる 黒い重たいあの雲が ボクの上を気付かずに 早く通り過ぎてくれないかと思って 気配を消して 明かりもつけず そうやって これからも 生きていくんだ 「手のひらの」 キミがずっと前から大事にしている そのカケラのことだけど いつも片手に握り締めている そのカケラのことなんだけど そのカケラがピタリとはまるはずの いつかどこかの何かのために キミはそれをずっと持っているつもりなの? いつかどこかに必ず現れる とは限らない そんな不確かな「何か」のために? そんなことより さぁ 手のひらを開いて さぁ そのカケラをそこへ置いて さぁ この ボクの 手を取って 「まぐれ」 会いたいなぁ 会いたい 窓。 私の窓はいつも開いてる あなたは窓を閉じたの? どうして窓を閉じたの? もう必要ないと思ったの? どうしてそれがわかったの? 私には わからない 神様の ただの気まぐれでも 神様の 単なる気の迷いでも 神様の 何かの間違いでも 神様からの いつかのしっぺ返しでもいいから もう一度会いたい もう一度だけでいいから 「ほんとのこと」 ほんとのことと ただしいことと まかりとおることは こんなにもずれてる この道を 先に進むために 少しだけ 目をつむって 次にまぶたを開いたとき キミのやさしさが 今のままで 変わらなければと願う もっといろいろなものが 見えるようになったとき もっといろいろなことを キミと話せればといい 「ひとり占め」 このやさしさはあなたにはみえない このやさしさはわたししかしらない 「後にも先にも」 ドラマチックな内容の ある事実を知ったとき 私の心の水面には 小さな波紋が広がった ポツンと かすかな小石が落ちたのだった けれどもその 後にも先にも何もなく たとえば今までの私には もう変化の加えようがないし これからの二人にも これといって変わるものも思いつかない ドラマチックな内容の割には 後にも先にも何もない その小石はただ 水面に落ちて 静かに沈んでいっただけ 「ゴール」 長い長い 長いマラソンの ゴールが見えたその先に 全身にみなぎる 疲労感 あるいは 達成感 ある人にとって それは折り返し地点となり ある人にとって それは新たなスタート地点 一点の なんと多様な顔ぶれ ただ一点の なんとかすかな重み ただ通り過ぎる ただ一点の 取り返しのつかなさに |